2023-09-30(Sat)
らんまん いいドラマでした!
ついに最終回を迎えた朝ドラ「らんまん」
いやぁ~~~、本当に良かったです!
最近AK(東京制作)の朝ドラは不作が続いていました。(私にとっては、ですが)
なのでスタート時は少し心配でしたが、神木隆之介君が主演だからなあ、もしかしていいドラマになるかも?と少し期待もありました。
でも神木君の黒歴史になったりしたらえらいことや、なんて余計な心配もしていました。
でも、いい意味で期待を裏切られた素晴らしいドラマになりましたね。
モデルとなった牧野富太郎博士は業績はすごいんですけど、人間的にはとんでもない人でした。
お金持ちに生まれましたが、両親を早く亡くして祖母に甘やかされたため、実家の財産を植物研究などの費用にどんどん使ってしまい、ついに酒蔵を廃業させてしまいました。
結婚後も大学の助手にまではなれたものの、給料は安いのにそれでも研究のために高い書籍などを買いまくって奥さんに大変な苦労をさせました。家財道具一式差し押さえられたり。
ドラマの中でも万太郎は史実ほどひどくないにしても働かない、金遣いが荒い(自分は働いてないのに大学の教室員に牛鍋を大盤振る舞いしたり)、借金する、植物採集するために家を空けがち…ということもあって、主演の神木君は「主役が視聴者に嫌われたらまずい」と不安だったそう。
なので、どう演じていけばいいか、共演者ともセリフ回しなど細かいことまで考えたといいます。
神木君の雰囲気で嫌われてないのかと思っていたけど、もっと綿密な演技プランを立ててたんだなあと感心しました。
それと、こういう長いドラマだとスタート時に最終回まで台本が出来ているわけではないので、その後の展開がどうなるのかわからないまま演じるという難しさが朝ドラにはあるようですね。適当な行き当たりばったりの演技ではなく、キャラクターを考えて演じないといけないし、脚本家さんも役者さんの演技を見ながら脚本を書いていくというところもあったと思います。
本当に長いドラマって大変なんでしょうね。
他にもこのドラマにはいくつか優れた点があったと思うんですが…。
まず、登場人物1人1人の人生を丁寧に描いていました。
朝ドラの駄作は主人公だけを中心に描いていて、その都合に合わせて周囲のキャラクターが性格づけられたり意味不明な言動があったり、ということがあります。
でもこのドラマは、1人1人が生きた人格を持ったキャラクターなので、「え?なんで?」みたいなことがなく、そうなるだろうな、そういうだろうなあ、って納得させられました。
そして、主人公中心に人を善人、悪人、に仕立てることがなかったです。
どんな人にもその人の立場での正義があったり、通さなければならない筋があります。
田邊教授は確かに万太郎にとって嫌な人物になっていったかもしれません。でも田邊教授が悪人かと言えばそうではなかった。
妻や子供たちには優しく、国費で留学したこともあって、国に対して義理を果たそうとする責任感の強さがあり、でも本当は植物を愛する、万太郎と共通する部分もありました。
万太郎に対して「虫けら」とまで言った田邊教授ですが嫌いにならなかったですもん。むしろ好きでした。
モブキャラっていうのは少なくて、石版印刷所のメンバー、草長屋のメンバー、植物学教室員などどのキャラも大事、でした。
「雑草という草はない。1つ1つに名前があり、必ずそこにいる意味がある」という万太郎のセリフそのままにドラマで描いていたんですね。
寿恵子を妾にしようとした高藤様、ですら「あれから奥さんとどうなったんやろ」とか思ったりして。
それと何といっても寿恵子役の浜辺美波ちゃんが素晴らしかったです。
まず、かわいい!日本髪がとても似合うし、いろんなシーンで「かわいいなあ~~~」と。
新婚時代、万太郎が植物研究に没頭して夜も寝室に来ないで机に向かってることで拗ねたりしてるのもかわいかった。
このドラマでは神木君と浜辺さんのWヒロインだったなと思います。
そして寿恵子はただ夫を献身的に支えて尽くす人ではなく、里見八犬伝が大好きな少女で、人生の冒険がしたくて万太郎と一緒になって人生を歩むんだ!という自分のために生きてるのが伝わってきたのが良かったと思います。
八犬伝が大好きというキャラクターにしたことで、能動的に生きる女性に仕立てたのがすごい。
晩年の歳を取った演技もよかったです。ただ白髪とかしわを書いただけじゃコントになっちゃいます。
そりゃあ本物の老人とは比べられない若さがあふれてましたけど、姿勢、動作、話し方、目線などで、脳内で60代の女性に変換することは十分可能でした。全然滑稽じゃなかったです。これは神木君も同じ。
植物学者ということで、植物に絡めたお話の作り方もよかったなって思います。
もともと植物園に出かけたり、関心はありましたが、ドラマを見ていて雑草と呼ばれるような植物にも関心を持つようになりました。
バイカオウレンとか初めて知りましたし、シロツメクサの名前の由来などもへ~~って。
田邊教授がホウライシダが好きな理由が「シダは植物の始祖にして永遠…」それは植物学を外国で最初に学んだ日本人で、その後教授になった、っていう田邊教授の経歴とうまく重ねていますよね。
徳永教授との万葉集を介しての交流もよかったです。
それと、万太郎が生きてきた時代は明治末期から昭和の戦後まで長いんですけど、その時代背景をとてもうまく織り込んで私たちに教えてくれてました。
幕府が倒れて身分制度が廃止されたこと、庶民も皆通う学校制度ができたこと、自由民権運動、諸外国と肩を並べるための鹿鳴館、文明開化、神社合祀令、関東大震災(その際の朝鮮人虐殺はストレートではなくても匂わせる描写があった)、などですね。
それと植物分類学ってどんな風に研究するのかっていうのも、標本の作り方やどの種類に属す植物なのか、新種なのかをどうやって同定するのか、もナレーションだけで済ませず、うまいことドラマに入れてました。
面白かったです。
最終回はどんなふうに締めるのかなと思ってましたけど、最終週の記事で書いたように素晴らしいエンディングで大満足でした。
万太郎にとって大切な存在である母、祖母、妻と3人の女性が亡くなりますが、それぞれ直接の臨終のシーンは描いていません。
このドラマのテーマが継承、だそうで1人の命が亡くなっても、その心、生き様は継承されていく…ということだったのかなと。
図鑑が完成して万太郎が寿恵子に最後に載せた新種スエコザサを見せて、寿恵子が私がいなくなってもいつまでも泣いてちゃダメ、草花に会いに行って、私もそこにいるから・・・というシーンは本当に素敵でした。
神木君、浜辺さんの演技、素晴らしかったです。
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実際は図鑑は奥さんが亡くなった後で完成し、スエコザサは掲載されておらず、標本も残っていないそうです。
よほど特別で、載せるタイミングを図っているうちに逃がしちゃったのか、もっと研究したかったのか、自分だけのものにしておきたかったのかよく分かりませんが…。
半年間、毎日楽しみでした。つまらない回が1回もなかったです。
ありがとうございました。
しかし明日から寂しいなあ。次の朝ドラも面白いといいけどなあ~。
いやぁ~~~、本当に良かったです!
最近AK(東京制作)の朝ドラは不作が続いていました。(私にとっては、ですが)
なのでスタート時は少し心配でしたが、神木隆之介君が主演だからなあ、もしかしていいドラマになるかも?と少し期待もありました。
でも神木君の黒歴史になったりしたらえらいことや、なんて余計な心配もしていました。
でも、いい意味で期待を裏切られた素晴らしいドラマになりましたね。
モデルとなった牧野富太郎博士は業績はすごいんですけど、人間的にはとんでもない人でした。
お金持ちに生まれましたが、両親を早く亡くして祖母に甘やかされたため、実家の財産を植物研究などの費用にどんどん使ってしまい、ついに酒蔵を廃業させてしまいました。
結婚後も大学の助手にまではなれたものの、給料は安いのにそれでも研究のために高い書籍などを買いまくって奥さんに大変な苦労をさせました。家財道具一式差し押さえられたり。
ドラマの中でも万太郎は史実ほどひどくないにしても働かない、金遣いが荒い(自分は働いてないのに大学の教室員に牛鍋を大盤振る舞いしたり)、借金する、植物採集するために家を空けがち…ということもあって、主演の神木君は「主役が視聴者に嫌われたらまずい」と不安だったそう。
なので、どう演じていけばいいか、共演者ともセリフ回しなど細かいことまで考えたといいます。
神木君の雰囲気で嫌われてないのかと思っていたけど、もっと綿密な演技プランを立ててたんだなあと感心しました。
それと、こういう長いドラマだとスタート時に最終回まで台本が出来ているわけではないので、その後の展開がどうなるのかわからないまま演じるという難しさが朝ドラにはあるようですね。適当な行き当たりばったりの演技ではなく、キャラクターを考えて演じないといけないし、脚本家さんも役者さんの演技を見ながら脚本を書いていくというところもあったと思います。
本当に長いドラマって大変なんでしょうね。
他にもこのドラマにはいくつか優れた点があったと思うんですが…。
まず、登場人物1人1人の人生を丁寧に描いていました。
朝ドラの駄作は主人公だけを中心に描いていて、その都合に合わせて周囲のキャラクターが性格づけられたり意味不明な言動があったり、ということがあります。
でもこのドラマは、1人1人が生きた人格を持ったキャラクターなので、「え?なんで?」みたいなことがなく、そうなるだろうな、そういうだろうなあ、って納得させられました。
そして、主人公中心に人を善人、悪人、に仕立てることがなかったです。
どんな人にもその人の立場での正義があったり、通さなければならない筋があります。
田邊教授は確かに万太郎にとって嫌な人物になっていったかもしれません。でも田邊教授が悪人かと言えばそうではなかった。
妻や子供たちには優しく、国費で留学したこともあって、国に対して義理を果たそうとする責任感の強さがあり、でも本当は植物を愛する、万太郎と共通する部分もありました。
万太郎に対して「虫けら」とまで言った田邊教授ですが嫌いにならなかったですもん。むしろ好きでした。
モブキャラっていうのは少なくて、石版印刷所のメンバー、草長屋のメンバー、植物学教室員などどのキャラも大事、でした。
「雑草という草はない。1つ1つに名前があり、必ずそこにいる意味がある」という万太郎のセリフそのままにドラマで描いていたんですね。
寿恵子を妾にしようとした高藤様、ですら「あれから奥さんとどうなったんやろ」とか思ったりして。
それと何といっても寿恵子役の浜辺美波ちゃんが素晴らしかったです。
まず、かわいい!日本髪がとても似合うし、いろんなシーンで「かわいいなあ~~~」と。
新婚時代、万太郎が植物研究に没頭して夜も寝室に来ないで机に向かってることで拗ねたりしてるのもかわいかった。
このドラマでは神木君と浜辺さんのWヒロインだったなと思います。
そして寿恵子はただ夫を献身的に支えて尽くす人ではなく、里見八犬伝が大好きな少女で、人生の冒険がしたくて万太郎と一緒になって人生を歩むんだ!という自分のために生きてるのが伝わってきたのが良かったと思います。
八犬伝が大好きというキャラクターにしたことで、能動的に生きる女性に仕立てたのがすごい。
晩年の歳を取った演技もよかったです。ただ白髪とかしわを書いただけじゃコントになっちゃいます。
そりゃあ本物の老人とは比べられない若さがあふれてましたけど、姿勢、動作、話し方、目線などで、脳内で60代の女性に変換することは十分可能でした。全然滑稽じゃなかったです。これは神木君も同じ。
植物学者ということで、植物に絡めたお話の作り方もよかったなって思います。
もともと植物園に出かけたり、関心はありましたが、ドラマを見ていて雑草と呼ばれるような植物にも関心を持つようになりました。
バイカオウレンとか初めて知りましたし、シロツメクサの名前の由来などもへ~~って。
田邊教授がホウライシダが好きな理由が「シダは植物の始祖にして永遠…」それは植物学を外国で最初に学んだ日本人で、その後教授になった、っていう田邊教授の経歴とうまく重ねていますよね。
徳永教授との万葉集を介しての交流もよかったです。
それと、万太郎が生きてきた時代は明治末期から昭和の戦後まで長いんですけど、その時代背景をとてもうまく織り込んで私たちに教えてくれてました。
幕府が倒れて身分制度が廃止されたこと、庶民も皆通う学校制度ができたこと、自由民権運動、諸外国と肩を並べるための鹿鳴館、文明開化、神社合祀令、関東大震災(その際の朝鮮人虐殺はストレートではなくても匂わせる描写があった)、などですね。
それと植物分類学ってどんな風に研究するのかっていうのも、標本の作り方やどの種類に属す植物なのか、新種なのかをどうやって同定するのか、もナレーションだけで済ませず、うまいことドラマに入れてました。
面白かったです。
最終回はどんなふうに締めるのかなと思ってましたけど、最終週の記事で書いたように素晴らしいエンディングで大満足でした。
万太郎にとって大切な存在である母、祖母、妻と3人の女性が亡くなりますが、それぞれ直接の臨終のシーンは描いていません。
このドラマのテーマが継承、だそうで1人の命が亡くなっても、その心、生き様は継承されていく…ということだったのかなと。
図鑑が完成して万太郎が寿恵子に最後に載せた新種スエコザサを見せて、寿恵子が私がいなくなってもいつまでも泣いてちゃダメ、草花に会いに行って、私もそこにいるから・・・というシーンは本当に素敵でした。
神木君、浜辺さんの演技、素晴らしかったです。
.jpg)
実際は図鑑は奥さんが亡くなった後で完成し、スエコザサは掲載されておらず、標本も残っていないそうです。
よほど特別で、載せるタイミングを図っているうちに逃がしちゃったのか、もっと研究したかったのか、自分だけのものにしておきたかったのかよく分かりませんが…。
半年間、毎日楽しみでした。つまらない回が1回もなかったです。
ありがとうございました。
しかし明日から寂しいなあ。次の朝ドラも面白いといいけどなあ~。